連絡事項、作品への言い訳、どうでもいい日常などなど・・・。
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*自嘲
もしも。
もしも己の最期の時には、お前がそばに居るといい。
その時が何時であろうとも、何処であろうとも、きっと後悔も懺悔も無いだろう。
決して口には出せない本音。
もしも。
もしもお前が先に斃れた時には、俺は一瞬で全てを捨て去ろう。
きっと、惜しいと思う何かは、既に手のひらから零れ落ちているだろうから。
覚悟ではない、事実。
もしも。
もしもこの想いを全うすることが、全ての終わりを意味するのだというならば、上等だ。
寧ろ喜んで、その命運を引き寄せよう。
きっとそれは、この先の道を照らす、唯一の希望。
もしも。
もしもお前が、今同じ気持ちを抱いているのなら、奪ってしまおう。
罪悪感さえ無いままに。
決して力ずくでなどなく、大人の顔を魅せつけて、存分に優しく。
きっと優雅に手を差し出すだけでいい。
それだけで全てを手に入れる、可笑しいくらいの確信。
「延王?」
呼ばれて、男の意識は現実へと戻る。
目の前には、不思議そうに小首を傾げる隣国の女王。
「何か心配事でも?」
僅かに顔を曇らせた少女は、気遣うような眼差しで見上げてくる。
その穢れ無さの前に無意識に怯む自分と、無性に汚したい衝動とが鬩ぎ合う中で、男は鷹揚に笑んでみせた。
「そうだな。お前が心配してくれるのなら、何か悩み事のひとつも考えてくるのだったな」
その何もかもを覆い隠す笑顔に安心したのか、少女は男の抱えているモノに気づきもせずに、花のような笑みを零した。
「私のような若輩者が、延王の気がかりを払拭できるなんて痴がましいことは、思ってもいませんけれど」
―――否
と男は心中暗く嗤う。
今この問題を解決できるのは、お前だけなのだ、と。
もしも、お前が・・・。
男は茶杯を手に取り、すっかり冷めてしまった茶を豪快に呷る。
その茶杯の陰で、ひっそりこぼれた呟き。
「もしも・・・か」
男の口元に浮かぶのは、自嘲の微笑み。
ー了ー
COUNT TEN.様からお借りしたお題を使用しています。
なんだか、書くもの書くもの、暗い・・・(^^;)
もしも。
もしも己の最期の時には、お前がそばに居るといい。
その時が何時であろうとも、何処であろうとも、きっと後悔も懺悔も無いだろう。
決して口には出せない本音。
もしも。
もしもお前が先に斃れた時には、俺は一瞬で全てを捨て去ろう。
きっと、惜しいと思う何かは、既に手のひらから零れ落ちているだろうから。
覚悟ではない、事実。
もしも。
もしもこの想いを全うすることが、全ての終わりを意味するのだというならば、上等だ。
寧ろ喜んで、その命運を引き寄せよう。
きっとそれは、この先の道を照らす、唯一の希望。
もしも。
もしもお前が、今同じ気持ちを抱いているのなら、奪ってしまおう。
罪悪感さえ無いままに。
決して力ずくでなどなく、大人の顔を魅せつけて、存分に優しく。
きっと優雅に手を差し出すだけでいい。
それだけで全てを手に入れる、可笑しいくらいの確信。
「延王?」
呼ばれて、男の意識は現実へと戻る。
目の前には、不思議そうに小首を傾げる隣国の女王。
「何か心配事でも?」
僅かに顔を曇らせた少女は、気遣うような眼差しで見上げてくる。
その穢れ無さの前に無意識に怯む自分と、無性に汚したい衝動とが鬩ぎ合う中で、男は鷹揚に笑んでみせた。
「そうだな。お前が心配してくれるのなら、何か悩み事のひとつも考えてくるのだったな」
その何もかもを覆い隠す笑顔に安心したのか、少女は男の抱えているモノに気づきもせずに、花のような笑みを零した。
「私のような若輩者が、延王の気がかりを払拭できるなんて痴がましいことは、思ってもいませんけれど」
―――否
と男は心中暗く嗤う。
今この問題を解決できるのは、お前だけなのだ、と。
もしも、お前が・・・。
男は茶杯を手に取り、すっかり冷めてしまった茶を豪快に呷る。
その茶杯の陰で、ひっそりこぼれた呟き。
「もしも・・・か」
男の口元に浮かぶのは、自嘲の微笑み。
ー了ー
COUNT TEN.様からお借りしたお題を使用しています。
なんだか、書くもの書くもの、暗い・・・(^^;)
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