連絡事項、作品への言い訳、どうでもいい日常などなど・・・。
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伸びた影と夕日
「影がだいぶ長くなりましたね」
そう言って、少女は笑った。
この前の逢瀬から、どれほどの月日が経ったことか。
――――こんなにも長い時間、放っておくなんて。
少女の一言が、男には、そう言っているように聞こえた。
決して、彼女はそんなことを言ったりはしない。
きっと、心にすら上ることは無いだろう。
それでもそんな風に感じてしまうのは、己の中に負い目があるからだ。
つらいときに、そばに居てやれない。
逢いたいという言葉も無理やり飲み込んで、己が職務を全うすることに全力を注ぐ。
そうすることしかできない。
そうすることが、互いのためだと己に言い聞かせ続けるしかなかった。
俺が俺でなかったら。
ただの、一人の男として彼女を愛せたならば。
ならば?
「手を・・・つないでいるみたいですね」
深い物思いから覚め、顔を上げると、少女がはにかんだように笑っていた。
「ほら」
視線の先をたどると、長く伸びた二つの影が、手をつないでこちらを見ていた。
ほんの少しだけ広げるように伸ばした少女の手は、軽く握られた男の手にちょうど重なっていたのだ。
男は傾きかけた夕日をまぶしそうに眺めてから、唐突に少女の手を握り締めた。
「影ではお前のぬくもりが感じられん」
唇の端をあげて、男もまた笑った。
ー了ー
COUNT TEN.様からお借りしたお題を使用しています。
今日は(たぶん)尚隆目線で。
そんな風に負い目を感じてしまう男の心情を、きっと少女もわかっているのかもしれません。
きっと、「俺が俺でなかったら」彼女は貴方に惚れなかった。
「影がだいぶ長くなりましたね」
そう言って、少女は笑った。
この前の逢瀬から、どれほどの月日が経ったことか。
――――こんなにも長い時間、放っておくなんて。
少女の一言が、男には、そう言っているように聞こえた。
決して、彼女はそんなことを言ったりはしない。
きっと、心にすら上ることは無いだろう。
それでもそんな風に感じてしまうのは、己の中に負い目があるからだ。
つらいときに、そばに居てやれない。
逢いたいという言葉も無理やり飲み込んで、己が職務を全うすることに全力を注ぐ。
そうすることしかできない。
そうすることが、互いのためだと己に言い聞かせ続けるしかなかった。
俺が俺でなかったら。
ただの、一人の男として彼女を愛せたならば。
ならば?
「手を・・・つないでいるみたいですね」
深い物思いから覚め、顔を上げると、少女がはにかんだように笑っていた。
「ほら」
視線の先をたどると、長く伸びた二つの影が、手をつないでこちらを見ていた。
ほんの少しだけ広げるように伸ばした少女の手は、軽く握られた男の手にちょうど重なっていたのだ。
男は傾きかけた夕日をまぶしそうに眺めてから、唐突に少女の手を握り締めた。
「影ではお前のぬくもりが感じられん」
唇の端をあげて、男もまた笑った。
ー了ー
COUNT TEN.様からお借りしたお題を使用しています。
今日は(たぶん)尚隆目線で。
そんな風に負い目を感じてしまう男の心情を、きっと少女もわかっているのかもしれません。
きっと、「俺が俺でなかったら」彼女は貴方に惚れなかった。
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